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男のためのオート・オルロジュリー・ガイド

ムーブメント、機能や表示、ケースなどの開発や改良こそ、1868年の創設以来、IWCの哲学としてその中核を成してきました。永久カレンダー、トゥールビヨン、 ミニッツ・リピーターといった複雑機構は、時計製造の歴史における重要な功績であるだけでなく、IWC自社における設計と開発の努力が結実したものです。 アイコニックなコレクションに捧げる7つのエピソードから構成される「男のためのオート・オルロジュリー・ガイド」では、IWCシャフハウゼンのオート・オルロジュリー(高級複雑時計製造)の世界をご紹介いたします。

コンプリケーションが
「グランド」の名を冠するとき

いまだ人々の記憶に名を刻む著名な英国人登山家にして、三度目のエベレスト遠征で命を落としたことでも知られるジョージ・マロリーは、1924年、なぜエベレストに登るのか?と問われて、こう答えています。「そこに山があるから」 ― この答えは、登山にまつわる最も有名な言葉となりました。

星空を仰ぐ時

「ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア」は、IWCシャフハウゼンが高級時計業界という星空に送り出した ひときわ煌めく新星です。この見事な傑作時計には、10年にもおよぶ徹底的な研究開発が費やされ、 完成までに様々な分野における外部専門家たちの協力を得ました。

第二章:複雑機構とは?

時計の文字盤上に並ぶ小さなダイヤルは何なのだろうと不思議に思ったことはありませんか?多くの場合、それらは単なる装飾ではなく、機械式時計の卓越した性能をさらに高める複雑機構や特別な機能のために付属しています。

雄飛する男たち

IWCの「パイロット・ウォッチ」のアイコン的地位は、決して空想の産物などではありません。IWCの価値観を体現するこれらの時計は極めて高い人気を博し、スイス時計業界においてパイロット・ウォッチというひとつのジャンルを打ち立てました。

インヂュニア:伝説のストーリー

1955年にIWCシャフハウゼンが発表した「インヂュニア」は、旋風を巻き起こしました。その「インヂュニア」誕生の裏には、それよりも遥か昔1888年まで遡るストーリーがあったのです。

Aquatimer
新しい「アクアタイマー」コレクションの世界

IWCのクリエイティブ・ディレクター、クリスチャン・クヌープが、「アクアタイマー」コレクションの新モデルのデザインをご紹介します。

ケース製造の芸術と科学

スイス北部の街シャフハウゼンの郊外 ― 名高いライン滝を臨む小さな町ノイハウゼンに、スイスの時計メーカーIWCの工場がひっそりと佇んでいます。

エクスペリエンス

ライン川畔のアトリエ

マイケル・フリードバーグ

テキスト — マイケル・フリードバーグ 日付 — 2012年12月19日

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オート・オルロジュリ―(英語ではHigh Horology)とは、その名の通り”高度な時計製造技術”を意味します。 高級複雑時計製造は、ある意味において全て高水準を追求し、IWCシャフハウゼンで製造される高級時計は、技巧、技術、そして非常に細やかな手作業を要します。これら機械式時計において最も細やかな技術を要するのは、偉大で精緻な複雑機構であり、これは時計製造技術が生んだマスターピースであると考えられています。IWCにおける複雑機構とは、トゥールビヨン、パーペチュアル・カレンダー、ミニッツ・リピーター、そしてグランド・コンプリケーションを意味し、これら全てが一つの時計に組み込まれている最高級の複雑機構です。

これら複雑機構は、数時間で組み立てられるものではなく、数日、場合によっては数週間かけて慎重に組み立てられます。トゥールビヨンは、時計の中核を成す部品である脱進機とテン輪を回転するケージ内に設置することにより、重力の影響を相殺します。このムーブメントを回転させること自体が非常に難しいのです。なぜなら、ムーブメントには極小の部品があり、それらの組み立てと調節が完璧でなければならないからです。

時間と分を告げる機構、ミニッツ・リピーターにも同じことが言えます。ハンマーが澄んだ音色で時間を告げるよう調節するには、技術と芸術的な技巧を要します。グランド・コンプリケーションは、その名の通り、特に複雑です。IWCのグランド・コンプリケーションには、パーペチュアル・カレンダーと経過時間を表示するクロノグラフの他に、ミニッツ・リピーターも搭載されています。

しかし、これらの時計も複雑さという点においては「ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア」に及びません。「ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア」は、IWCシャフハウゼンが製造した時計の中で最も複雑なタイムピースであり、通常の太陽時に加え、恒星時も表示します。「ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア」は、文字盤に位置する特許取得済みのコンスタントフォース(定力装置)付きトゥールビヨンの他にも、その裏蓋に1年における黄道、天の赤道、そして地球上の特定の位置から見える数百の星々を携えた夜空を表示します。更に、1年の何日目であるか(絶対日)を表示するパーペチュアル・カレンダーと、日の出と日の入り時間も表示します。

これら全ての複雑な時計は、高級時計製造の頂点を極めています。これらは複雑な機構である以上に、偉大な芸術品でもあります。そして、時計職人たちは単なる技術者ではなく、芸術家でもあるのです。彼らの貢献なくして今日の高度な時計製造技術は存在しえなかったでしょう。

IWCシャフハウゼンには、アトリエの中にあるアトリエとでもいうべき特別な部門があります。ライン川を一望するその部門は、これらのマスターピースの製造を専門に行っています。この部署の責任者は、技術者であり、高級時計職人であり、そして真の芸術家でもあるハンスイェルク・キトラスが務めており、彼は、品格を湛える爽やかな紳士です。キトラスはとても気さくな人物で、恐らくこれらの時計の洗練されたムーブメントから想像される年齢よりも若いです。

—ハンスイェルク・キトラス、ミニッツ・リピーターへ生涯を懸けた情熱

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彼は時計職人になるために生まれたような人です。彼は東ドイツで幼少期を過ごし、その頃から時計製造に対する情熱を燃やしていました。青年期にはザクセンのとある時計職人に師事し、学校に通う週と働く週を交互に繰り返しながら、公立の学校に通っていました。1994年、学校生活最後の日、彼の先生が黒板に”ランゲが情熱ある若者を募集中”と書きました。

当時、ランゲ&ゾーネの見習い職人が最初に研修を受ける場所、それがIWCでした。若かりし頃のハンスイェルク・キトラスは、スイスに1年間居住するのを望まなかったため、ドレスデンにある別の会社で働きました。しかし1995年、再びランゲから招待を受けたのです。シャフハウゼンで彼を面接したのは、IWCシャフハウゼンの時計製造部部長のロナルド・イェーガーでした。試験はとてもシンプルなもので、比較的基礎的なキャリバー30110自動巻きムーブメントを分解し、再び組み立てるというものでした。

その後のことは、IWCの歴史にあるとおりです。キトラスはIWCで働き始めた後直ぐに、パーペチュアル・カレンダー部門に配属されました。ロナルド・イェーガーは、人の才能を見抜くことに秀でた人物でした。そしてキトラスは、シャフハウゼンにてその素晴らしいキャリアの階段を静かに登っていったのです。今日、彼は特殊機構部門の責任者として複数名の時計職人で組織されるグループを率い、グランド・コンプリケーション、ミニッツ・リピーター、トゥールビヨン、そして比類なき「ポルトギーゼ・シデラーレ・スカフージア」を製造しています。

この小さな部門では、これら精巧で複雑なムーブメントの組み立てが行われています。極小部品の埋め込み作業と調整作業を何度も繰り返すため、この部門に属する時計職人の技術と忍耐力は並外れています。最終的な目標は、この特殊機構部門に属する時計職人全員が、これら全てのムーブメント製造に携わることができるようになることです。しかしながら、時計職人はそれぞれ専門分野を持っており、キトラスの専門分野はミニッツ・リピーターです。

キトラスと会話をすれば、彼がこれらの時計を愛していることがよく分かります。彼は、時計の構造を全て把握していますし、ミニッツ・リピーターが最初のチャイムを奏でてその命が吹き込まれる時には、喜びの表情を浮かべます。ところで彼は一人の真の芸術家として、自身が全身全霊を込めて製造したミニッツ・リピーターを身に着けているのでしょうか?

実はキトラスは、1980年代に製造されたIWCポルシェデザインモデルを愛用しています。その理由を聞いた人は誰もが納得するでしょう。その時計は、彼がまだ新米の時計職人だった頃、婚約者(現在の妻)から婚約プレゼントとして贈られたものなのです。「朝食にシャンパンは必要ない」とは、彼がよく口にする言葉です。

ハンスイェルク・キトラスは、信じられないほど複雑で偉大な時計を製造する生粋の時計職人であり、魅力的で正直な男性です。時計愛好家にとって、複雑機構時計の職人にとって、これらの芸術品は、シャンパンよりも遥かに魅力溢れるものでしょう。キトラスと才能溢れる彼のチームが製造する時計は、ベスト・オブ・ザ・ベストなのです。

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