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60年以上もの間、IWCは自社工房で研修を実施し、世代を超えて時計職人の育成に取り組んできました。 研修生には、手先の器用さと技術的な才能が要求されます。研修の終了後も、大半の研修生がスイス北東部にあるIWCに残って仕事を続けています。

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ガタガタと不安定な音を立ててエンジンが止まると、ベンツは手の甲で額の汗を拭いながら、我が子のように大切な金属製の機械を覗きこみました。

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多くの病気に対する新しい治療法を発見するため、献身的に努力する優秀な研究者でもあり、勤務先のロシュ社のサッカーチームを数年にわたり指導する熱心なコーチでもある。工学的な美しさと機械式ムーブメントの精度に惹かれる時計愛好家の顔をも持つアンドリュー・トーマスは、多種多様な事柄に情熱を注いでいる。

エクスペリエンス

ケース製造の芸術と科学

マイケル・フリードバーグ

日付 — 2011年11月29日

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スイス北部の街シャフハウゼンの郊外――名高いライン滝を臨む小さな町ノイハウゼンに、スイスの時計メーカーIWCの工場がひっそりと佇んでいます。

IWCの時計職人の大半は、シャフハウゼン市内のバウムガルテン通りに位置するIWCの主要工房でムーブメントの製作や組み立てに従事しています。ウォッチケースだけは静かなライン川沿いにあるこの工場で製造されています。

時計造りの現場と聞けば、多くの人は、ピンセットやミニドライバーのような道具を片手に、人並み外れた集中力に汗しながら、背中を丸めて一人作業台に向かう時計職人の姿を想像するのではないでしょうか。それら特殊な道具を使って、腕利きの職人が無数にある極小の金属製部品をまとめ上げ、卓越したタイムピースを作っているのだと……。しかし、事実は異なります。ひとくちに時計製造といっても、そこには数多くの部門が関係し、それぞれ職人がいて、ともに共同作業にあたります。時計は、重要なケースを含めて、各職人が力を尽くして製造した各部品の総合体にほかならないのです。美しく仕上げられたケースは、ムーブメントを保護するだけでなく、時計のデザインを決定づける欠かせない要素でもあります。

IWCは、優れたケース製造技術で知られています。IWCのウォッチケースの大半、特に複雑なものは、ノイハウゼンの新工房で製造されています。この独立施設の1階と3階は、IWCのタイムピースのケース製造部門となっています。

ケースを自社製造している時計メーカーはあまり多くありません。製造工程が複雑な上に莫大な費用がかかるためです。実際、大規模な機械設備の導入やその維持管理に費やされるコスト、専任の技術者を雇用する費用などが必要となるため、ほとんどの時計メーカーはケースを外注しています。しかし、ケースの製造工程を管理することで徹底した品質管理が実現するほか、製品の必要性に応じた柔軟な対応も可能になります。ケースを自社製造することで、他の時計メーカーと完全に一線を画することもできます。IWCの新施設に足を踏み入れると、IWCのケース製造において「自社製」という言葉が特別な意味を持つことがわかります。

先日、ケース工業生産部門マネージャーのクリスチャン・ロスが、IWC自社製ケースの製造工程について説明しました。クリスチャンは実は時計職人ではなく、歯科業界での経験を持つ機械エンジニアです。機械と製造工程に関する深い知識を持つクリスチャンは、時計製造技術の習得に十分な素養を備えていました。彼は、細かく調整されたプロセスと、重要な機器について解説しました。

原材料がケースとなるまでの主な工程:
• 旋盤加工
• フライス加工
• エングレーヴィング
• 表面加工(研磨、サンドブラスト加工、コーティング、光沢加工。その他、様々な段階における追加工程を含む)
• 組立

各工程が終わるごとに、計測を含めた点検が行なわれます。

工場の見学者を最も圧倒するのが、各作業の複雑さです。機械は高性能で、緻密なコンピュータープログラミングを必要とします。各工程は、様々な複雑なステップに分かれています。それぞれの工程、そしてその中で実施されるステップのすべてにおいて厳しい品質管理がなされ、徹底的なチェックが繰り返されます。IWCのケース製造は、測定可能な水準に照らし合わせても、業界最高の品質を誇ります。

大抵のケースはステンレススティール製で、原材料は通常、棒状の地金として納品されます。IWCでは、厳しい検査に合格した特製のステンレスティール合金を採用しています。広範囲にわたる検査が行われ、耐腐食性と耐摩耗性にとりわけ厳しいIWCの品質規格に適合していることが確かめられています。

ステンレススティールに加えて、ノイハウゼンの工場では、ゴールドやプラチナ、あるいはチタニウム素材のケースも製造されています。これら貴金属でケースを作る場合は、最初に真鍮で試作品が作られます。貴重な素材を無駄にして多額の損失を出す事態となる前に、必要なテストが実施できるというわけです。ノイハウゼンの工場にあるすべてのケース製造機器は、これらの貴金属にも対応可能です。ゴールドとプラチナを使用する場合は、特に細心の注意が払われるという点を別にして、その扱いに特別な配慮を求められるのがチタニウムです。チタニウムとの結合には高熱加工が必要となるため、火災の危険性に充分注意する必要があります。

最初の作業は、まず地金を旋盤にかけることから始まります。大抵の場合、左右対称の形状に切削されます。旋盤では機器は固定され、部材の方が回転します。金属の棒や塊が左右対称に回転する様子を想像してください。旋盤加工で使われる機器は、コンピューターで制御された大型機器の場合が多く、作業工程では大量の熱が発生します。そこで重要性を増してくるのが冷却です。適切に冷却することで、機器をより長い時間で稼働させることができ、仕上がりのクオリティもより良質なものとなります。迅速に冷却することで作業効率を向上させる目的で、しばしば特殊冷却剤を用いた“高圧冷却”と呼ばれる方法が行われています。

旋盤加工の後には、通常フライス加工が施されます。これは旋盤加工とはまったく異なる作業であり、金属をさらに様々な形状に仕上げることができます。フライス加工では部品を固定し、工作機器を回転させて切削します。「ダ・ヴィンチ」、「グランド・コンプリケーション」、「アクアタイマー」のケースを例に取ると、ひとつのケースを製造するには極めて複雑な5軸同時制御のフライス加工が必要となります。

フライス加工の一部には、大型機器が適さない作業もあります。その場合は、手作業によって進められます。大型機器を使うにしろ手作業で進めるにしろ、各工程には厳密な品質管理と計測が欠かせません。時計業界ではよく「高精度計時」が話題に上りますが、精密加工の世界では「高精度計測」こそ必要なのです。ここで製造されるすべての部品は、IWCが設定する極めて厳密な製品規格に適合していなければなりません。大抵、外形寸法に許される誤差はわずかに1ミリの1/100以内です。製品によって、完成品ひとつひとつに対して検査を実施する場合もあれば、サンプルを抜き出してチェックする場合もあります。検査の一部は手作業で行われ、その他はコンピューターで測定しています。なぜ、このように緻密にして綿密な検査を行うのか。理由は明白です。時計の出来、不出来の鍵は細部にあるものだからです。

最高水準の品質を現実のものとするために、IWCが生産現場に導入しているのが「リーン生産方式」です。これはある自動車メーカーによって開発された高効率な生産方式で、その基本理念は、より高品質な製品を、より多く生産するというものです。ミスはおかさず、常に完璧を目指します。最も基本的なレベルでいえば、手作業に用いる道具類はすべて、ひとつの道具箱に整然と収められ、いつでも素早く取り出せるようになっています。こうすることで、集中力が途切れることで起こるミスを未然に防ぐことができるのです。製造工程のあらゆる段階とそれに関わる細かな作業すべて、さらには使用されるあらゆる道具類までもが、あらかじめ周到に考え抜かれています。

フライス加工が終わると、ケース部品には必要に応じてエングレーヴィングが施されます。ここでは再びコンピューター制御の機器が使用されます。この工程によって「ディープ・ツー」「ガラパゴス」「ローレウス」といった特別モデルの裏蓋に見られるような図案が刻まれるのです。

ノイハウゼンにあるIWC新工房の2階では、別の方法でムーブメント部品が製造されています。原材料にワイヤー放電加工を施し、小さい複雑な部品を作ります。さらに、地板にぺルラージュやジュネーブ・ストライプなどの装飾が施されます。放電加工と装飾に使用する機器は、どちらもコンピューターで制御されます。また、工程や機器の種類に関わらず。すべての段階で何度も点検が繰り返されます。

完成した部品は、耐候試験室においてツァイス社製の測定機器を使用し、ミクロン単位の精度で測定されます。フライス加工と旋盤加工が施される1階では、計測によって部品の点検を行ない、2階と3階ではさらに別のテストが実施されます。すなわち、完成品の「外観」に対してもテストが課されるのです。どれほど高度な機械でも、研磨が均一で十分かどうかを判断することはできません。専門の職人が直に確かめる必要があるのです。

3階では、“表面加工”と呼ばれる手作業による研磨が行われています。部品の研磨にも数多くの工程を要します。必要に応じて、側面や部品の一部に「光沢加工」や「サンドブラスト加工」を施し、この際、一部の光沢加工には機械が使用されます。たとえば、「アクアタイマー」のケースリングのように、とりわけ鋭角なエッジや複雑な形状を備えている場合には、望ましい均一の仕上がりを得るために、機械による光沢加工が行われているのです。

研磨段階でも、工程ごとに点検が実施されます。完成品は品質管理試験場へと送られ、さらなるチェックが行なわれます。製造工程の各段階で品質管理に合格しても、最終段階で再検査と品質テストが課されます。そこにはいかなる偶然が入り込む余地はありません。

最終検査は工房の4階にある品質管理室で行われ、この段階で部品にラッカーが塗布されます。こうして完成したケースはシャフハウゼンのIWC本社工場に送られ、“ケーシング”と呼ばれる作業が行われます。すなわち、組立済みのムーブメントを出来たばかりのケースに入れ、さらに文字盤と針を取り付けるのです。このように、秀逸なムーブメントを搭載しているというだけでなく、同じくらい秀逸なケースを備えた時計が、ここにまたひとつ誕生するのです。

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