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IWC Da Vinci Perpetual Calendar Sketch
永遠を手首の上に

クルト・クラウスは、IWCで時計技師のリーダーを務めていた頃、様々な変則性を含むグレゴリオ暦を解釈し、外部からの修正をほとんど必要とせずに2499年まで完璧に作動する、機械的なプログラムを開発しました。

Ingenieur Constant-Force Tourbillon
不変は力

IWCのコンスタントフォース機構により脱進機が一定の力を供給し、最高の精度が保障されます。

IWC Portugieser Annual Calendar
IWCのアニュアルカレンダー
新しく誕生した小さな永遠

自社製キャリバー52850の新しいIWCのアニュアル・カレンダーは、永久カレンダー付きの「ポルトギーゼ」と日付表示付きの「ポルトギーゼ」のギャップを埋めるだけではありません。カレンダーの調整が簡単になり、2月の最終日に手動で調整するだけです。

IWC Portugieser Tourbillon Mystère Rétrograde
浮遊するように時を刻む機構

多くの時計職人が、彼らの最も好きな複雑機構はトゥールビヨンであると言うでしょう。

精度の調整

IWCの腕時計を正確に作動させるには、テンプの振動を入念に調整しなければなりません。

IWC 52000 Calibre Movement
IWC新自社製
キャリバー52000シリーズ

自社で開発・製造された新しいキャリバー52000シリーズは、多くの技術的な改善を特色としています。

IWC Oils
規則正しく時を刻むために

どの程度の重圧や負荷にさらされてきたかによって、ムーブメントの内部機構の約50カ所に、腕時計に特化して開発されたオイルやグリースが施されます。

研究所でのテスト

IWCシャフハウゼンでは、タイムピースの新モデルに厳しいテストを課しています。この一連のテストは、温かい塩水槽に長期間浸したり、過酷な環境を再現した試験室に隔離したりと、最大で50段階もの独立したステップで構成されています。こうしたすべての工程を経てこそ、時計が最終的にお客様のお手元に届いた後、日常生活やさらに厳しい条件下での使用に適した機能が確保されるのです。

エクスペリエンス

巻き上げひげによる精度の向上

テキスト — ボリス・シュナイダー 日付2015-09-23T06:58:35

共有:
IWC 52010 calibre
—キャリバー52000シリーズのテンプを均等に振動させるブレゲ式ひげゼンマイ

IWCのキャリバーの中には、テン輪の縁がブレゲひげゼンマイ上で往復運動をするものがあります。手作業で丁寧に成形されたターミナルコイルは、テンプが完璧に規則正しく振動する上で重要な役割を担っています。これにより、時計の精度が向上するのです。

1秒を長く感じる時もあれば、数時間が瞬時に過ぎていく時もあります。時間に対する私たちの感じ方は相対的なものですが、時そのものは同じ一定の速度で淡々と進んでいきます。私たちの時計は、規則正しく、秒、分、時の順で時を刻みます。時計技師であり、IWCシャフハウゼンで産業化を専門とするプロジェクトマネージャーのラファエル・フラウエンフェルダーは、職業人としての彼の挑戦について、「時計製造において、究極の目標は『等時性』です。分かりやすく言えば、振幅や姿勢に関係なく、テンプが確実に規則正しく振動するようにすることです」と述べています。

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目標は一定のペースを保って振動すること

機械式腕時計では、テンプは時計の振り子と同じ役割を担います。テンプは、輪列が脱進機から外れることで針が進むよう一定の間隔を作り出します。この動作が、主ゼンマイに残されたエネルギーによって影響されることは、ほとんどありません。フラウエンフェルダーはこの原理について、「ゼンマイの張力が減少するにつれ、アンクルからテンプに伝達される衝撃は弱まり、振幅は狭まりますが、振幅が狭まっても、ほとんど同じ間隔で振り石がアンクルを押すのです」と説明しています。

しかし、振り子の物理的特性は、高い精度を保つための基盤となるものにすぎません。数百個もの部品で構成され、休むことなく動き続ける機械式腕時計の場合、むしろ、文字通り「デビル(悪魔)」と呼ぶべき厄介なものは、極小部品の中にあります。それゆえ、何世紀もの間、創造性に富んだ天才や孤独な発明家達は精度を高める挑戦をし続けてきたのです。1795年頃スイスの時計職人アブラアム=ルイ・ブレゲが開発し、彼の名が付いたゼンマイも、テンプが規則正しく振動することに大きく貢献しています。

balance_wheel
—ゼンマイが均等に広がることができるように、ひげゼンマイを高い位置に配置
Breguet_Spring
—現在もなお、ブレゲ式ひげゼンマイを手作業で丁寧に成形しているIWC

平ひげゼンマイは均等に広がらない

ブレゲの時代、テンプはまだ平ひげゼンマイに固定されていました。そのようなゼンマイでは、その内端と外端は同一の水平面上にあります。フラウエンフェルダーは、これが引き起こす問題について、「平ひげゼンマイにおいては、金具に取り付けられたゼンマイの外端が妨げとなり、ゼンマイが均等に広がることができないため、異常な膨張が起こるのです」と説明しています。重心は常に変化するため、結果として姿勢差が生じ、さらに悪いことに、弾性にも影響を及ぼすため、振動が早くなったり遅くなったりします。この姿勢差と弾性が、時計の正確性に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

実験の過程で、ブレゲはゼンマイの外端を他の部分よりも高い位置に置き、特殊な方法で最後まで巻き終えるという独創的なアイデアを思いつきました。その結果、誕生したゼンマイのターミナルコイルは、大きく上に曲がり、ゼンマイの上を横断する、「巻き上げひげ」として知られることになりました。その終端部は緩急針と接合し、ゼンマイの端は金具で固定されています。フラウエンフェルダーは、その独創的な形状のメリットについてこのように説明しています。「特殊な形に成形し、上部で固定することで、ゼンマイは常に均等に振動し、同心円状に広がり続けます。」「この結果、姿勢差と弾性は解消され、テンプは一定の間隔で振動するのです。」

ゼンマイが同心円状に広がることができるよう、ゼンマイを上部で固定

正確な形状はキャリバーによって異なる

しかしながら、ブレゲ式ひげゼンマイの巻き上げカーブを成形するのに、絶対守らなければならない規則などありません。フラウエンフェルダーは、「テンプの回転中心とゼンマイが固定されている外側の点との間の距離など、正確な形状はさまざまな要因によって決定されます」と説明しています。時計職人は、特殊な付番方式に従って、さまざまな種類の巻き上げ様式を決定します。例えば、カーブ番号100の場合、金具はゼンマイの最外端カーブの上に直接取り付けられます。テンプシステムの種類によって、カーブとキャリバーの多様な組み合わせから適切なものを選択して成形するのです。

この発明からまもなくして、ブレゲ式ひげゼンマイは、機械式腕時計において極めて評価の高い品質の証となりました。IWCの創設者フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズも、精度と革新に対する厳しい要求に応えるため、特殊な形状に成形したひげゼンマイを使用しました。フラウエンフェルダーは、「IWCでは、現在もなお、ブレゲ式ひげゼンマイを手作業で成形しています」と付け加えます。シャフハウゼンを拠点とするIWCは、何世代にもわたり、この仕事に必要な専門知識と観察技能の保護と育成を行ってきました。時計職人だけでなく、それに相応する明確な技術を持った振付(調整)を専門とする職人がこの仕事を担当しています。IWCの最新コレクションでは、とりわけ、キャリバー51000、52000および59000シリーズで、ブレゲ式ひげゼンマイの巻き上げカーブを備えたテンプが使用されています。

カスパリ効果がもう一つの誤差を修正

ブレゲ式ひげゼンマイの巻き上げカーブは時計の精度にプラスの効果を与えることが証明されましたが、非常に高い精度は平ひげゼンマイでも実現することができます。機械式腕時計は複雑な機構であり、無数の要因がテンプに影響を及ぼす可能性があります。したがって、特定の物理的影響が必ずしもマイナスに働くわけではありません。フラウエンフェルダーは、「フランスの造船技師兼天文学者のクレティエン・エデゥアルド・カスパリは、平ひげゼンマイの弾性の影響を利用することでテンプに与える悪影響を取り除く、というアイデアを思いついたのです」と説明しています。

カスパリは、平ひげゼンマイの内端および外端の作用点の設置角度がどれくらい振動に影響を及ぼすかについて調べました。そして、特定の角度において、高振幅のときに精度は遅れ、低振幅のときには早く進むことを突き止めました。この発見により、彼はスイス・クラブツース・レバー脱進機が引き起こす誤差を修正することができたのです。テンプの振幅が狭まるにつれ、テンプがアンクルを前後に押す力は次第に弱まり、その結果、時計は遅れてしまいます。フラウエンフェルダーは、「平ひげゼンマイとスイス・クラブツース・レバー脱進機に起こる精度の進み遅れの現象はテンプの振幅の大小で逆の特性になり、お互いを打ち消しあうことを意味します」と、その独創的な解決法について述べています。

キャリバー52000シリーズ

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脱進機機構

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多くの要因が振動速度に影響を与える

しかしながら、振動に影響を及ぼす要因は他にもあります。フラウエンフェルダーは、「ゼンマイの遊び、つまり緩急針機構の2つのピン間の距離は、ひげゼンマイの有効長を抑えるものであり、調整において重要な役割を担っています」と述べています。遊びが大きいほど、ゼンマイの張力は減少し、時計の動きはますます遅くなります。平ひげゼンマイを使用する場合、時計職人は、2つのピンの間に比較的大きな遊びを確保し、弾性の影響を解消しようとします。しかしながら、ブレゲ式ひげゼンマイを使用する場合は、彼らはこの距離を意図的に短くするか、あるいは、テンプの振動数をテン輪の縁に位置する重りネジのみで調整する、インデックスフリー・テンプを使用することを選択します。

等時性を実現するために用いられる方法は、状況によって異なります。多くの場合、物理的現象が互いに作用する、あるいは互いに反作用するような型破りな方法を考案するために、時計職人は緻密な研究をしなければなりません。フラウエンフェルダーは、「ブレゲひげゼンマイの技術的な素晴らしさは、システム全体として複数の種類の誤差を解消させるしくみにあります」と、その優位性について語っています。時計内部の仕組みが主として、ブレゲやカスパリのような人々の作品であることは、複雑機構の魅力を高めるひとつの知識と言えるでしょう。

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